「テイルズ オブ」シリーズ
独断と偏見による評価


RPGの「テイルズ オブ」シリーズの各タイトルに対する、一人のプレイヤーとしての独断と偏見に基づいた評価です。各タイトルの「スコア」は、10点満点での総合評価です。

8〜10 是非プレイしてほしいタイトルです。
6〜7 多少の問題はありますが、遊ぶ価値が十分あります。
4〜5 好み次第ですが、暇があれば遊んでみてもいいかもしれません。
0〜3 どうしてもプレイしたい理由がなければ、スルーしていいでしょう。

各タイトルの「良いところ」や「悪いところ」といった細かい評価は主に、そのタイトル以前に発売された「テイルズオブ」作品と比較しての評価になりますが、初めて「テイルズオブ」に触れる方が戸惑いそうなところなど、RPGやゲーム全般の流行に合わせて随時更新します。

なお、評価を初めて付けたのは2013年3月なので、それ以前にプレイしたものについては、現在は薄れてしまった当時の記憶に基づいて評価しています。

タイトル
(略称)
スコア 発売時期 初プレイ時期 (参考)役に立った攻略サイト
  • 良いところ
  • 悪いところ
総合評価・その他のコメント
テイルズ オブ ファンタジア
(ToP)
7 1995年12月 2009年12月
  • RPGと対戦ゲームを融合させた作品で、それまではほとんどコマンド選択式だったRPG戦闘の新しい形を作った。
  • SFC時代には珍しかったボイスを、戦闘を中心に使用している。オープニングも曲ではなく歌になっている。(ちなみにSFC版では、サウンドテストからオープニングソングを再生すると音が壊れることもあり、ボイスの実装がいかに難しかったかが窺える。)
  • ToLまでの共通問題ではあるが、ToAで確立されたフル3Dの戦闘に慣れてしまうと、本作にあるような2D戦闘はどうしても窮屈に感じてしまう。
何と言っても初代作品。2009年になってSFC版をプレイしても楽しめたので、割と名作?
テイルズ オブ デスティニー
(ToD)
4 1997年12月 2009年12月 テイルズオブデスティニー - マジェスティックファンタジアン
  • フィールド画面で移動せずにしばらく待つと、キャラクターがしゃべり出し、雑談のほか、ストーリーに関するヒントなどが聞ける。後の作品に「スキット」や「チャット」として引き継がれたシステムだが、むしろラジオ会話の感覚に近く、割と気に入った。
  • PSソフトであることを意識して3Dに見せようとしたためか、ワールドマップが使いづらく、フィールドで迷いやすい。
ToV時代になって初めてプレイしたこともあって、クリアするのに相当の我慢が必要だった。
テイルズ オブ エターニア
(ToE)
8 2000年11月 2000年11月
  • 料理やミニゲームなど、シナリオ以外に楽しめる要素が多く追加されている。今でも時々、ミニゲーム「ウィス」を遊ぶために起動したりする。
  • 登場人物が使う言葉(普通の日本語で表示されるセリフ)とは別に、もう一つの言語を使うキャラクターがいる。この言語は記号で表示され、プレイヤーにも意味が伏せられているが、記号の意味を知っていればセリフを解読でき、クリアした後にもう一周プレイすれば、新たな発見があったりする。
初めてプレイした「テイルズオブ」タイトルなので、スコアには懐かしさが混入しているかもしれない。
テイルズ オブ デスティニー2
(ToD2)
5 2002年11月 2010年1月
  • GRADE(戦闘評価)システムの導入で、戦闘にただ勝つこと以外の目的が持てるようになった。(前作にも同様な戦闘評価があったが、ゲームプレイに影響がなかったため、今ひとつ魅力に欠けた。)
  • 初の試みということもあってか、本作のGRADEシステムはやや分かりづらい。
プレイしてから3年しか経っていないが、すでに内容を殆ど忘れてしまった。それだけ印象の薄い作品だったということだろう。
テイルズ オブ シンフォニア
(ToS)
6 2003年8月 2010年1月(PS2版)
  • 戦闘フィールドに奥行きの概念が登場。2つ目のラインで、ジャンプせずに敵の後ろへ回れるようになった。
  • これといった問題はないが、シナリオやシステム全般で、「あと一歩頑張ってほしかった」と思ったところが多い。
プレイしたのは後発のPS2版で、噂によればGC版より多くの修正や改善が入っている。
テイルズ オブ リバース
(ToR)
3 2004年12月 2004年12月 テイルズオブリバースまとめwiki
  • 戦闘フィールドが2ラインから3ラインに増えた。
  • シナリオは酷い。キャラクターが何度も不可解な見落としや誤解をしたり、前後と何の繋がりもないイベントが挿入されたりで、セリフを読めば読むほど呆れてゲームどころではなくなる。
  • ゲームプレイに関しても、以前の作品からあまり進展していない。むしろ以前の作品よりシステムが面白くなくなった。
発売当初と数年後、計2回挑戦したものの、結局クリアする気になれなかった(「アライズ」までをプレイした現在も、クリアしていない作品は本作だけ)。ToEに続き2番目に遊んだ「テイルズオブ」作品だが、たまたま次作であるToLのローカライズ(英語化)支援を頼まれなければ、そのままシリーズから離れていっただろう。
テイルズ オブ レジェンディア
(ToL)
7 2005年8月 2005年8月
  • メインシナリオに加えて、仲間キャラクターをより深く知ることができる「キャラクタークエスト」が用意されている。
  • 全体的に世界設定がきちんと考慮されており、シナリオでは触れられないレジェンディア世界の歴史なども、グラフィックやNPCセリフから垣間見える。
  • ゲーム序盤から、各ダンジョンと拠点の街を結ぶ「ダクト」(現代でいうファストトラベル)が解放され、ダンジョン突入前に準備を整えたりできる。また序盤のうちにフィールドをほぼ一周するので、その後のフィールド移動をある程度省略できる。
  • 戦闘フィールドは1ラインしかなく、前2作と比べて戦闘がやや単調になってしまう傾向がある。
  • 世界設定によるものだが、フィールドを狭く感じてしまった。冒険しているという感覚をあまり持てなかった。
低く評価する声も聞くが、筆者としては割と楽しめた。前作との脳内比較の結果かもしれないが。
テイルズ オブ ジ アビス
(ToA)
9 2005年12月 2005年12月
  • 戦闘の「フリーラン」機能の実装で、ラインに縛られず戦闘フィールドを自由に走り回れるようになった。これ一つで戦闘がかなり楽しくなった。
  • スキルシステムの導入によって、戦闘の戦略性も上がっている。
  • 敵とのエンカウント方式が、従来のランダムエンカウント(移動していると、時々戦闘が発生する方式)からシンボルエンカウント(画面に表示される敵シンボルに接触して戦闘に入る方式)に変わったお陰で、戦いたくない時に敵を避けて移動することができる。
  • シナリオが、世界設定、ストーリー両面でしっかりできている。特にストーリーは、ありふれた「愉快な仲間たちが世界を救う」ものではなく、災害や人同士の戦い、死といった暗い話題にも躊躇なく触れ、感動したり考えさせられたりした場面も多かった。万人に受ける(売れる)当たり触りのない話にする選択肢もあっただろうが、あえて複雑な話題を取り入れてよかったと思う。
  • サウンドトラックが一流。他のタイトルにも心に残った曲はあるが、サウンドトラック全体としては本作がシリーズを通してベスト。終盤の曲が特に優れており、ラストダンジョンあたりのBGMを聴くと、今も鳥肌が立つ。
  • たまたまパーティステータスがちょうど適正レベルだったのかもしれないが、闘技場でのとある人物たちとの戦闘が、RPGを数多くプレイしてきた中で一番熱い戦闘だった。バランスやAIを含め、非常に楽しめた。(攻略方法を編み出すまで苦戦していたが、それもRPGの醍醐味の一つと言え、そのために初めて遊ぶゲームを一度クリアするまでは攻略サイトを見ないことにしている。)
  • 序盤から主人公の性格が強烈すぎて、感情移入しづらい。中盤から改善するが、この変わり方もまた極端でついていけない。
  • フィールドでの移動が遅く、ややストレスを感じてしまう。
  • 他の作品よりも、ロード(ゲームデータの読み込み)に時間がかかる。
「テイルズオブ」シリーズ10周年記念作品と銘打って発売された作品だが、この時点では間違いなくシリーズ最高作品だった。ToVと並んで、最も強く記憶に残っている一作である。
テイルズ オブ イノセンス
(ToI)
4 2007年12月 2013年4月(Vita版)
(注:以下は後発であるVita版「テイルズ オブ イノセンスR」の評価であり、DS版とは仕様が大きく異なるらしい。)
  • 携帯ゲーム機で、フリーランを含めたフル3D戦闘を上手く実現している。
  • 攻撃連携において、特技と奥義の中間に「秘技」が入り、攻撃→特技→秘技→奥義と、従来より長い連携を繋げることができる。特定のスキルを習得すれば、奥義から特技に連携するなど、さらに連携を延ばせる。
  • 戦闘作戦が「基本行動」と「優先行動」に分かれており、AIの挙動を細かく指定できる。
  • ボイスが下手。発音がのろかったり、棒読みだったり、変に間が延びたりで、最後まで聞く気になれない。
  • 何故かランダムエンカウント方式を採っている。2012年にもなって、再びランダムエンカウント作品が世に出るとは思いもしなかった。ちなみにDS版はシンボルエンカウント方式だった。
  • 仲間の戦闘AIは、戦闘作戦の基本行動だけでは他の「テイルズオブ」作品と比べて賢くなく、優先行動をキャラクター毎にいちいち設定しなければ戦闘に手間取ることがある。AIプログラムを組むような感覚ではあるが、共通行動の設定やコピー・貼り付けもできず、プログラミング経験のある筆者でさえ億劫に感じてしまう。
  • 優先行動に実行条件を指定できるが、条件の種類がシナリオの進行に応じて徐々に解放されるため序盤では使い物にならず、プレイヤーに悪い印象を与えたしまう。
  • 戦闘中のターゲット切り替えが正しく動作しないことがある。地味な不具合だが、アクション性の高い「テイルズオブ」戦闘では案外影響が大きい。
  • 戦闘スキルの設定可能数が非常に少なく、様々な魅力的なスキルを覚えても結局役に立たない。
  • 町やダンジョンではカメラが主人公に近寄りすぎて周りがあまり見えず、自分がどこにいるのか把握しづらい。グラフィックよりも地図を見ている時間の方が長いように感じた。
  • 元々DSソフトだからかもしれないが、Vita版になってもビジュアル的に若干安っぽく感じてしまう。文字フォントが普通のゴシックフォントだったり、句読点の位置がおかしかったりという細かいところも思った以上に気になる。
楽しめないことはないが、ほかの作品、特に前作のToAに比べると見劣りしてしまう。(なお、携帯ゲーム機向けである本作と後のToHは「テイルズオブ」シリーズのマザーシップタイトルと位置づけられてはいるが、上記の通り品質の問題もあり、筆者は他のタイトルと同列には捉えていない。)
テイルズ オブ ヴェスペリア
(ToV)
9 2008年8月 2008年11月 テイルズ オブ ヴェスペリア 2ch まとめ @Wiki
  • 主人公ユーリがしっかりしている。理想ばかり語るのではなく現実を直視して自ら行動を起こす性格は、「テイルズオブ」にしては珍しいが、人間らしくてよかったと思う。その行動自体は時には汚いが、自らの行動を美化せずにきちんと向き合うところまで描写されているなど、キャラクター設定全体が非常によく行き届いている。
  • 戦闘がスピードアップして、爽快感が増している。
  • 戦闘の「フェイタルストライク」(タイミングよくボタンを押せば敵を一発撃破できる)システムで、単純に敵を攻撃する以外のアクション要素が戦闘に加わった。
  • 前作のToIより更に多くの戦闘スキルを搭載。また、スキルの設定可能数もレベルと共に上がるので、覚えたスキルが序盤から役に立つ。
  • 特定のアイテムを入手することで、操作キャラが使用できる術・技が従来の8(術技ボタンと右スティックを合わせた数)から16に倍増し、設定を変えずに様々な戦況に対応できる。
  • やり込み要素満載。特に後発のPS3版で、新たな隠しダンジョンが2つも追加された。
  • グラフィックが非常に綺麗。
  • PS3版で追加されたキャラクター「パティ」は、あまりにも他のキャラやシナリオとの接点がなく、かなり浮いた存在になっている。追加されたパティ関連イベントも、X360版ではかなりスムーズだったシナリオの進行を乱してしまう。
  • キャラクターの着せ替え衣装など有料DLCが多く、全部揃えようと思えば相当な金額になる。筆者はDLCを買わない主義なのでそもそも無いものと考えて、その上でこの評価にしているが、気になる人もいると思う。(なおリマスター版では、DLCだった要素は全てソフト本体に入っている。)

とにかく良作。時間を置いて再度プレイしても楽しく、筆者の総プレイ時間がやり直しを含めて300時間超(2015年1月現在)で、これまで遊んだRPGの中でオンラインゲームを除いて断然1位。ToAと比べては一長一短だが、神ゲーであることには変わりない。

ちなみにToAと本作のシナリオを比べたとき、ToAはストーリーや世界設定全般が優れているのに対し、本作は各々のキャラクターの描写が優れており、架空の世界という特殊な環境下ではあるが、他のシリーズ作品よりも「本物の人間」と思える。(残念なことに、キャラが概ねまともになっているのは、シリーズを通してこの作品のみ。)

またシステム面・技術面での完成度も高く、ダンジョンから脱出できない点を除けば、2022年現在の感覚でも遊びやすいと思う。リマスター版も出ているし、初めて「テイルズオブ」シリーズを遊ぶ方に一番お勧めしたい作品である。

テイルズ オブ ハーツ
(ToH)
3 2008年12月 2013年4月(Vita版)
(注:以下は後発であるVita版「テイルズ オブ ハーツR」の評価であり、DS版とは仕様が大きく異なるらしい。)
  • 「チェイスリンク」システムで、タイミングよく攻撃を当てれば敵を一方的に殴ることができ、長い連係攻撃を楽しめる。特にボス戦では、ボスの体力を一気に削ることができるので、戦闘が無駄に長引くことが少ない。
  • 敵は単独行動ではなくパーティとして戦ってくる。例えばプレイヤーが1体の敵を集中攻撃していると、他の敵はその集中攻撃の阻止を優先する。ただ攻撃ボタンを連打するだけではなく、周りの状況も意識して戦うことが要求される。
  • エンディングの途中でエラー(C2-12828-1)が発生してゲームが強制終了し、クリア後に用意されていると思われる要素や2周目以降はプレイできない。今後の更新で修正されるだろうが、これほど深刻な不具合を残して発売するのは許し難い。
  • 未だにランダムエンカウント方式を採っていて、移動が度々戦闘によって中断されて面倒。ToAやToVだけでなく、ToIと本作のDS版でも採用したシンボルエンカウント方式にそろそろ統一してほしい。
  • シナリオはToR並みに酷い。キャラクターの言動に一貫性が無かったり、不思議現象を目の前にしても誰も気にしないなど、物語の体をなしていない。
  • 「基本行動」と「優先行動」に分かれた戦闘の仲間AIは、優先行動の条件がより早い段階で解放される以外、ToIの欠点のそのまま引き継いでいる。
  • 戦闘で敵が頻繁に走り回り、余計に戦闘を引き延ばす。
  • ToIと同様に、戦闘中のターゲット切り替えが上手くいかないことがある。
  • ToIと同様に、グラフィックよりも地図を頼りに町やダンジョンを移動せざるを得ないことが多い。
  • ToIほどではないが、ボイスののろさが気になることが多い。

クリア時のエラーで2点減点。

エラーを除けば、良くも悪くもToIの後継作品という印象を強く受ける。戦闘システムは概ね高く評価できるが、それ以外はToIの短所を多少改善している程度で、シナリオに関しては欠陥だらけ。何を楽しみにプレイするかによって、本作の評価は大きく異なるだろう。

テイルズ オブ グレイセズ
(ToG)
8 2009年12月 2011年9月(PS3版) テイルズ オブ グレイセス f まとめWiki
  • 「CC(チェインキャパ=行動ポイント)」システムの導入により、通常攻撃→特技→奥義という連携の縛りが完全になくなり、戦術の幅が広がった。
  • TP(術・技の行使で消費するポイント)の概念がないので、ボスに備えて雑魚戦で手控える必要がなく、毎回全力で戦える。術・技の強さに応じてCC消費量が増加するので、戦闘のバランスが崩壊することもない。
  • ボス戦限定ではあるが、戦闘敗北時にやり直し(リトライ)が出来るようになった。やり直し時はメニューも開かれるので、思わずボス戦に突っ込んでしまっても立て直せる。
  • やり込み要素満載。依頼(クエスト)、デュアライズ(アイテム作成)など、ゲーム序盤からできるものもあり、しかも多くはシナリオを進めるついでにクリアできるようになっているので余計な寄り道をしなくて済む。
  • フリーランは、CCを消費するためにあまり使えない。その代用として左右へステップできるようになったものの、やはり自由度が下がったと感じてしまう。
  • シナリオに深みがなく、序盤から全体の構造が見えてしまう。世界設定がしっかりしているだけに残念。
  • 周りをちゃんと見ない、自分で考えようとしない、バカな主人公に逆戻りしてしまった。ToVと比べて、主人公の言動にイライラする頻度が格段に上がった。
  • フィールドが一本道になっていて、あまり探索できる余地がない。
ゲームプレイに関してはかなり質が高いものの、シナリオの問題が玉にキズ。
テイルズ オブ エクシリア
(ToX)
5 2011年9月 2011年9月 テイルズ オブ エクシリア 攻略まとめWiki
  • 戦闘で「共鳴(リンク)」システムが導入され、敵を攻撃する際にオート制御の仲間キャラクターに援護してもらえるようになった。
  • 成長システム「リリアルオーブ」で、キャラクターの成長や習得する術・技などを好みに合わせて決められる。同じミラでも、剣主体で戦うなら腕力を、術主体なら知性を伸ばすなど自由度も高い。
  • クイックセーブ機能で、いつでもプレイを中断できるようになった。
  • 最初からHD仕様のためか、インタフェースがスマートで見やすい。
  • ラジオ会話が導入され、ゲームプレイを中断せずにキャラクターの感想やヒントが聞ける。
  • 主人公を主要キャラクターの2人(ジュードとミラ)から選べ、それぞれの観点からシナリオをプレイできる。
  • ゲーム全体に見切り発車感が漂う。やり込み要素が少ない、バグが多い、変なところでBGMが抜けている(曲が間に合わなかったから?)など。
  • 戦闘バランスが酷い。同一難易度でプレイしようとすると(筆者はセカンドでプレイしたが)、雑魚が弱くて戦闘を楽しめないのに、ボスが強すぎてほとんど勝てない。
  • ボスは、連続ヒットを7〜8回当てると剛体が発生し反撃してくるため、コンボできなくなった。(この仕様なのに、従来の作品と同様な強さになっていることが、バランス崩壊の原因の一つかもしれない。)
  • 戦闘で共鳴システムを使うと、援護する仲間が頑張りすぎて、こちらの連携を乱してしまうことが多い。逆に共鳴を使わないとオーバーリミッツゲージが貯まらない。
  • 仲間キャラクターが成長できる幅が狭い。レベル上限が他の作品と比べて低く、習得できる術・技なども比較的少ない。
  • 前作と同じく、フィールドが一本道になっている。内部が広いところもあるが、入り口1つ、出口1つしかないマップが殆どで、連続した「世界」を冒険している感じがしない。また一部を除いて、コピペと言われても仕方がないぐらい類似した形になっていて、不自然に見えてしまう。
  • 主人公を選べると言っても、シナリオの大部分は2人が一緒に行動しているので、あまり面白みがない。
  • グラフィックの趣向が違うから何ともいえない部分もあるが、やや乾いた感じがして、あまり好きになれない。特に、雲がこれ見よがしに多用されていて、全体の感覚を暗くしてしまっている。
  • 一部のラジオ会話が延々と繰り返されてうるさい(「私も戦わせて」「お腹が空いた」など)。しかもラジオ会話を切ったり無音にすることもできない。
糞ゲーというわけでは決してないが、15周年記念作品と銘打って発売され、ToA並みの作品を期待したのに、それには遠く及ばなかった。開発にもう少し時間をかけていれば、非常にいい作品になり得たのに、残念としか言えない。
テイルズ オブ エクシリア2
(ToX2)
4 2012年11月 2013年3月 テイルズ オブ エクシリア2 攻略
  • フィールドで速く走れるようになった。
  • 戦闘の共鳴システムが改善され、援護キャラクターの思考を大まかに設定できるようになった。前作と違って、邪魔だと感じたことは殆どなかった。
  • 主人公のセリフ選択で、プレイヤーがシナリオに介入できる。会話の流れだけでなく、実際にシナリオを大きく左右する選択もあり、シリーズ初のマルチエンディング作品となっている。(この点を「良い」とするかは好み次第かもしれないが、筆者としては、プレイヤーをゲームに引き込む新たな形に挑戦したことを評価したい。)
  • マップやグラフィックは、殆ど前作からの流用ばかりで、新規のものは町3つ、フィールド2つ、ダンジョン5つ程度。前作から流用したマップは、見た限りでは一切変化がない。続編なので仕方のない部分もあるが、これで前作と同じ販売価格というのは納得がいかない。
  • 前作ほどではないが、セリフやテキストが単調だったり、細かいバグが多いなど、手抜き感がある。
  • 戦闘のバランスは(これも前作ほどではないが)うまく取れていない。雑魚に比べてボスが強すぎる。
  • 戦闘に機能をつぎ込みすぎたせいか、本作で初めて戦闘中の入力ミスが気になった。
  • シナリオが進む度に、借金返済のために金策を要求され、鬱陶しい。まるでMMORPGのように感じてしまった。
  • 借金システムのせいで、シナリオが途切れ途切れになってしまう。最近の作品と比べて面白そうではあるが、金策の度に中断されるためか、どうも興味を持てない。
  • ごく一部を除き、クエストが単調でつまらない(しかも、つまらないのに借金返済のためにこなさざるを得ない)。説明文も読んでいて恥ずかしいくらい馬鹿馬鹿しい。
  • 主人公はプレイヤーの選択でしか喋らないので、明らかに「正しい」発言があってもプレイヤーに選択させるための場違いな選択肢が表示されたり、時にはどちらの選択肢もプレイヤーの考え方とかけ離れていたりして、シナリオのキーポイントであるはずの「選択」の重みが薄れてしまう。
  • プレイヤーが選択するセリフ以外に、主人公は固定のリアクション(「ああ」「!?」など)をすることもあるが、これらも(プレイヤー本人によってではあるが)プレイヤーの反応と異なることが多く、主人公に感情移入しづらい。
  • 前作にあった、ラジオ会話の繰り返し再生問題は修正されていない。ラジオ会話を無効にする設定も依然用意されていない。
  • 余計な演出(特にボス戦前後の格闘シーン)が多い。
諸々の問題はあるが、正規シリーズ作品というより、今後を見据えた実験作品のように感じた。今回失敗したところの反省を今後の作品に活かしてほしい。
テイルズ オブ ゼスティリア
(ToZ)
6 2015年1月 2015年1月
  • 戦闘は専用フィールドではなく、ダンジョンなどのマップでそのまま行われるので、戦闘は地形の影響を受け、今までより多様なエンカウントを楽しめる。例えば狭い通路でエンカウントすれば敵を回り込めなかったり、逆に敵シンボルを誘い込んで有利な地形で戦うこともできる。マップやイベントシーンとの一体感も感じられてグッド。
  • 細かい点だが、敵シンボルの配置や挙動が上手い。ただ徘徊しているだけではなく、影から飛び出したり、天井から落ちてきたりする。RPGの仕組みには慣れているつもりだが、何もない部屋に入って、「絶対何かいるな〜」と思った矢先に頭上から待ち伏せを喰らったときは我ながら焦ってしまった。
  • 戦闘で稼いだGRADEは、シナリオの途中から補助効果の解放に使えるので、2周目以降でしか使えなかった過去作品と比べて早く恩恵を受けられる。
  • 装備品にはランダムでスキル(追加効果)が付くが、装備品同士を掛け合わせることでスキルを変化させられる。掛け合わせの結果は規則的で、望むスキルをどうすれば付けられるか考えるのが、パズルを解くような感覚で面白い。
  • 基本ステータスを上げる薬草アイテムを使うと、HPやSC(行動ポイント)も全回復するようになった。過去の作品では(少なくとも筆者にとって)ほぼ死にアイテムだったが、今回はダンジョンの途中などで宿代わりとして使えて便利。
  • 終盤のドラゴン戦。これだけいい演出ができるのに、ストーリーは……
  • 設定こそ面白いものの、ストーリーはお粗末。ToRやToH並みに話が前後で繋がらなかったり、キャラクターの言動が一貫性を欠く場面が多々あり、ありえないセリフや展開で天を仰いだこと数知れず。主人公たちよりも短時間しか出てこないNPCのほうに感情移入してしまうほどだった。
  • ゲーム後半では、戦闘のバランスが悪くなったり、ダンジョンがシナリオでは触れられずに適当に置かれていたり、画面表示が乱れる場面があるなど、ストーリー以外でもやや雑な作りになっている。またして見切り発車か。
  • 雑魚は概ね弱く数で襲ってくるので、雑魚戦が乱戦になることが多い。これ自体は特に問題ないが、ToG風のステップを使う本作の戦闘システムはあまり乱戦に向かないように感じた。敵は攻撃対象を頻繁に変えるので、攻撃をステップでかわそうと思えばプレイヤーのターゲットも頻繁に変えなければならず、戦闘のペースが落ちてしまう。
  • オート操作の仲間キャラクターに対して指定できる「作戦」の幅が狭く、戦闘中に無駄な行動を取ってしまうことが比較的多い。例えば秘奥義を使いすぎて余力を残さなかったり、強敵を相手に神依化を解除して、その直後に敵の攻撃を受けて即死するなど。(しかもオート操作キャラの戦闘不能でGRADEの大幅減を喰らうし……)ToI、ToHのようなAIプログラムまで求めなくても、もう少し詳細に設定できるようにしてほしかった。
  • 地形によっては、戦闘カメラが変な位置に止まって、操作キャラクターや攻撃ターゲットが見えなくなってしまうことがある。移動すればたいてい直るが、今後はより賢いカメラワークを期待したい。
  • セーブとロードがとにかく遅い。PS3のシステムソフトウェア機能を使っているはずだが、他のPS3作品と比べても3倍以上時間がかかる。クイックセーブ機能はあるが、「クイック」とはとても言えない。
  • クイックセーブしてゲームを中断しても、再開時には敵シンボルが復活するので、敵が多い場所やパーティが弱っている状態でセーブすると、再開する→襲われる→全滅というループに陥ってしまう恐れもある。
  • DLCの扱いがあくどい。従来はゲーム本編に含まれていた歴代作品キャラ衣装などの遊び要素が悉くDLCに移行されており、その販売価格は各種衣装だけで本編の価格を超えてしまう。また、発売とほぼ同時にクリア後の「アフターエピソード」もDLCとして出されたが、内容量(ダンジョン3つ、イベント少々)と価格(本編の約1/6)は全く釣り合わない。バンダイナムコは、いったいどれだけ顧客のお金を絞り取れば気が済むのだろう。

主にToGのゲームシステムとToXのインタフェースを融合・発展させた本作だが、良くも悪くも「テイルズオブ」らしい作品で、楽しめるが目立ちはしない。ToXやToX2の欠点が修正されていてありがたいが、ToAやToVのような心のこもった作り込みは感じられない。

そういえば本作は「20周年記念作品」として売り出されたが、品質もさることながら、そもそも前回の「記念作品」以来初めての新規タイトルである。「記念作品」という言葉を、もはや宣伝文句としてしか意識していないだろうか。

テイルズ オブ ベルセリア
(ToB)
5 2016年8月 2017年4月
  • 本作の戦闘では、攻撃の最大連携数は「ソウル」という概念で管理され、敵を倒したりするとソウルが増えるほか、ソウルを消費(ブレイクソウル)して連携の制限を突破したりできる。無難に短い連携で敵のHPを削ることも、ブレイクソウルを繋げて大ダメージを狙うこともでき、今までの作品とはひと味違った戦い方を楽しめる。
  • 初代のToP以来続いていた、戦闘における「ライン」(前後移動)の概念が撤廃され、常時フリーラン状態になった。ラインを懐かしく思うこともあるが、3D戦闘にそぐわないのも事実。
  • パーティキャラの戦闘AIが賢い。作戦変更もできるが、変更しなくても、AIは秘奥義やメンバー入れ替えを含めて各機能を効率よく使ってくれる。
  • 前作のToZと同様に、戦闘で稼いだGRADEはすぐに役立つ。本作ではパラメータ強化などのスキルの習得ポイントとして使われ、GRADEを上手く稼げばキャラクターの成長を速めることができる。
  • フィールドの構造は、本作もToG以降のタイトルと同じ個別フィールドエリア設計になっている。エリアは洞窟や海路で繋げられている場合も多く、ゲームの舞台を一つの連続した世界とはどうしても感じられない。筆者としては、ToVまでで使われた全世界フィールドに戻すか、いっそ「ゼノブレイドX」などのようなシームレスマップにしてほしい。
  • 装備品にランダムで付く効果は、前作やToGのように混ぜることはできず、強力な装備品を狙って作ることはできない。戦闘していると大量の装備品が手に入るが、その殆どはただ分解して終わってしまうという、ややつまらないシステムになっている。
  • ストーリーは、酷かった前作よりましな程度で、お世辞にも良く出来ているとは言えない。筋立てやセリフは稚拙さが目立ち、多くの会話イベントは無駄に長い。また新作のはずなのに、前作からそのまま流用した部分も少なくない。
  • 一部のエリアでは、しばらく滞在しているとBGMが一旦途切れてしまう。ボイスも末尾の音がカットされてしまうことが多く、全体的に音周りの出来上がりは宜しくない。
戦闘システムは上手く出来ていて楽しいものの、それ以外は面白味に欠け、よくて平凡と言わざるを得ない。大きな問題があるわけではないが、クリアして振り返ると、何だか空しく感じてしまうような作品だった。あらゆるものに終わりが来るように、「テイルズオブ」シリーズも老いてきたのかもしれない…。
テイルズ オブ アライズ 6 2021年9月 2021年9月
  • 戦闘時の操作方法が一新され、より直感的に攻撃できるようになった。設定できる術・技の数自体が減ったものの、特に筆者を度々悩ませていたジャンプの誤入力が、ジャンプ専用ボタンの導入で解消されてありがたい。
  • 戦闘バランスが概ね良い。いつも通り難易度「セカンド」でプレイしたが、雑魚が弱すぎずボスも強すぎず、戦闘を十分楽しめた。回復アイテムもいい具合に使わされた。
  • フィールド移動中でもジャンプできるようになった。跳び越えられない柵などはまだ多いが、進歩であることは間違いない。
  • ジャンプできるおかげで、過去作より複雑なフィールド構造も実現できている。助走を付けて跳ばないと辿り着けない宝箱なども登場している。
  • どこでもセーブできるようになり、時間を選ばずに遊びやすくなった。さらに2個のオートセーブも付き、こまめにセーブしなくてもある程度の巻き戻しができる。
  • フィールドで拾えるアイテムが名称付きでマップに表示されたり、未受注サブクエストのあるエリアが移動メニューから確認できるなど、細かいところでも利便性が高められている。
  • イベントシーンでは、登場人物が大声で泣き叫ぶことがやたら多く、周りに住んでいる方々への迷惑が気になってしまう。テレビのリモコンを常に手元に置いておきたい。
  • 新しい戦闘システムの設計はかなり物理系キャラクター寄りで、魔法系キャラが使いづらい。特に副主人公シオンの場合、通常技・爆弾技・攻撃術・回復術の全てから3つしか同時にセットできず、中盤で6つに拡張されるとはいえ、操作キャラで活躍するのは難しい。
  • 終盤やクリア後ダンジョンの戦闘バランスは、絶妙だった中盤までと比べてやや粗い。「26周年未満」に合わせた見切り発車なら、「〜周年」と位置付けること自体はもうやめてほしい。
  • シリーズを代表する回復アイテム「グミ」の回復量は、従来の最大HP割合から固定値に変わってしまった。序盤からアップルグミが死にアイテムと化して悲しい。
  • UIの行きすぎたミニマリズムで、戦闘時の状態変化やスキット通知などが見落としやすくなってしまった。
  • NPCなどのセリフは吹き出しではなく画面下のウィンドウに表示されるが、NPC名の多くは単に「男性」や「女性」でしかなく、複数の人が会話する場合、誰が喋っているのか分からなくなってしまう。称号の獲得進捗も表示されないなど、所々で手抜き感がある。
  • ロード(ゲームデータの読み込み)がやや遅い。昨今のゲーム全般に共通する問題ではあるし、使用しているミドルウェア「Unreal Engine」に起因する可能性もあるが、だからといって許す気にはなれない。
  • もはや驚きはしないが、DLC関連がしつこい。ゲームを起動する度にDLCメニューを開かないと「!」バッジが消えないし、ゲーム中の野営(キャンプ)画面にまでDLCメニューが入り込んでしまっている。DLCを買うつもりのない筆者にとっては、邪魔以外の何物でもない。

ついに頭文字が過去作と被ってしまった本作だが(公式サイトのURLも「toarise」と、略すのを諦めた模様)、フリーランを導入して戦闘を3D化したToA(アビスの方)以来の大改革を果たした。スキットの漫画風演出など、筆者個人に「うーん」と思わせたものもあるが、マンネリ化していた「テイルズオブ」シリーズに新たな風を吹き込んだことは評価したい。

ただ、前述した「登場人物が大声で泣き叫ぶ」点について、全体評価も少し下げざるを得ない。エンターテインメントである以上、それを体験する人の事情(耳の健康や近隣への影響)を考慮すべきだし、声優の方々にとっても大きな負担だったはず。語りたかったストーリーに本当に必要だったのか、反省を促したい。


アンドリュー・チャーチ - achurch@achurch.org
2022/1/23更新